アニメ・物語における「00年代とエロゲを履修していない」という大きすぎる穴と分断について【6000文字】
- 2019/05/08
- 22:56
目次
- 1、90年代末~00年代のエロゲ全盛期を通っていないと価値観の穴が大きい
- 2、「不幸ヒロインは萌えである」と早い段階で打ち出している手塚治虫
- 3、00年代の罪と業と救済のコントラスト、そして10年代がある
- 4、ここ10年、あるいは20年ぐらいでネットでステルス的に蓄積されてきたもの
- 5、現代では全ての物語を把握し追う事は不可能に近い
- 6、商品~00年代代表懐かし作品コレクション~
といっても、語れるほどエロゲに詳しくないんですよね。
エロゲの影響なしにゲームやアニメやラノベの物語は語れない
という指摘は今更感ですが、どうもそれがけものフレンズ1と2の「遠さ」
の原因かもしれないとも思うんですよね。という記事。
90年代末~00年代のエロゲ全盛期を通っていないと価値観の穴が大きい
けもフレ2なんだけど、善悪や萌え、美少女キャラ造形として、エロゲとフリーゲーム
通ってる世代かそうでないかというのが意外と大きいのかもしれないとふと思った。
90年代末~00年代に一世を風靡したエロゲとフリーゲームの特に「泣き」と
鬱シナリオのもの。
その手の同人漫画や超マイナー漫画は通ってないので何とも言えないんだけど、
例えば表にあったものでも「ぼくらの」とか「最終兵器彼女」とか
「ひぐらしのなく頃に」とかがあったわけですが、Fateにしても虚淵シナリオ
にしてもマブラヴにしても、人間の業とか善悪超越、これでもかと残酷な目に
遭いすぎる不幸美少女、ヒロインが無残すぎる死に方、どうあがいても絶対に
ハッピーエンドになれない主人公等々、結構エロゲやフリーゲームで
やり尽くされてきた、行きすぎた、そこで消化されすぎたものがあって、
それ通ってる世代だと「業」で今更描ける事ある?状態になった上での
2010年代の善悪超越かもしれないなとふと思ったわけです。
逆にそこを通らないで来ていると、エヴァからまど☆マギに至るまで、
エヴァの延長線上に見えるのかもしれないなどとふと思ったりもする。
間の「ひぐらし」とかがずっぽり抜けてるとまど☆マギの見え方も
また違うのかもしれない。まど☆マギが流行った時に言われたのは
エヴァ、セカイ系、エロゲの集大成であるという事。
また「君の名は。」もエロシーン入れたら何の違和感もなくエロゲにできるよね、
という感想も一部にあった。新海監督はエロゲのムービー作ったりしていた
という有名なようなそうでないような話。
00年代~2010年代の作品には結構エロゲの影響下のものが多いのに、
エロゲを知らない人が多いという文化的喪失、齟齬があるわけです。
もちろん売る側の人、評価・評論する側の人も知らない人も多い。
見る側もそうなのだけれど、そうすると知らない価値観がある…
例えばシリーズもので3まで見たけど4~9は見ていないで10の評価をする、
という状態になる。それが妥当な評価なのかという事と、価値観や文法を
知らないので知らない部分について評価できない、という問題がある。
さらには、90年代以降アニメやゲームなどのカルチャーから離れていた
人にとっては、20年弱ぐらいの間にかなり進んだり変化した部分がある
という事でもある。通ってないとキツイかもしれないもの「エロゲ」「ニコニコ」
「ボカロ」だろうか。いずれも00年代なのである。
「不幸ヒロインは萌えである」と早い段階で打ち出している手塚治虫
手塚治虫って「不幸ヒロインは萌えである」と明らかに分かってやってる
と自分は思うんですよね。今やってる「どろろ」のみおにしてもそうだし、
奇子ってエロゲの白雉系ヒロインに近いものがある。無知であるがゆえに人と違う
価値観を持ち、純粋すぎ、危ういのが萌えであると。奇子の場合はある意味
ファムファタルなのだろうか。本人にはそんな意識ゼロ、どころかそれ以前
だというのに、近寄る人が勝手に狂っていくし、それが自業自得としか
言えないという業の消化の仕方。
どろろのみおなんだけど、アニメでは排除されても仕方ない理由があったけど、
原作ではただいじめられ、ただ差別され、ただ排除される存在で、
明らかにそれが「萌え」だという手塚解釈なんだなと。
それがヒロインがひどい目に遭う系エロゲにすごく通ずるものがあるんだけど、
それで書けるほどにはエロゲやってないんですよね。
例えばFate/SNの桜がひどい目に遭うのって、意外と桜寄りな描かれ方だと
思うんですが…空の境界の藤乃も、読者からみてそれが萌えとかぐっとくる
ポイントだとしても、藤乃の心情が描かれていますよね。手塚の場合、
時代もあるのか、100%男性からみた一方的な暴力としての萌えが
みおなんですよね。デビルマンで美樹が死ぬ場面に萌えは見出せるか?
という話にもつなげられるかられないか。
あと不二子・F・不二夫さんの短編で、人間と動物で食物連鎖が逆転している
話があったと思うんですが、あれも残虐萌えではないか?と個人的には思う
のですが…。
漫画や物語における女性の扱い、描かれ方、立ち位置を書くとすんごい長い
話になってしまうのですが、それも社会に変化に合わせた遍歴があって、
古いほど「女性」というものが分からない、ほぼ100%男性から見た想像上の、
女性にとっては勝手な都合と妄想で動く「女性」であり、そこには堂々と
物語上の素材として、男性が思う存分に暴力的に描いてよい、配慮のない
萌えがある。それってエロゲに通じるものなんだけど(AVにも通じると思う)、
エロゲの方がまだ女性自身の感情や立場、立ち位置に配慮した展開が
されているかもしれない。それが「時代」なのだろうなあと思う。
ヒロインの扱いというのは、物語における善悪の扱いぐらい難しいもので、
例えばミカサがエレンより強い、エレンは主人公なのにヒロインみたいに
助けに来てもらう事が多いポジションというのは、巨人になれるから
という切り札で成立している、それ以外の条件だと少年漫画では成立
させにくいヒロインの強さなんですよね。普通に考えて、主人公よりヒロインが
強いのは少年漫画雑誌というアイデンティティにおいてまずい。
後から主人公の方が強くなるならともかく、そういうわけでもないのだから。
萌えに話戻すと、文学でもかなり早く「不幸萌え」ってあると思う。
オペラだとプッチーニが不幸系ヒロインが大好きで、毎回毎回そういう
感じだし(蝶々夫人とかラ・ボエームとか椿姫とか)、不幸ないたいけさ
健気さが萌えって系譜はある。サロメはヤンデレか?サロメは
逆に現代的解釈だと何ヒロインなのかが難しい。
その不幸な目に遭ういたいけさの方ではなく、残虐性の方が萌えに
なっているというのはいつからなんだろう。手塚はそれがはっきり見て取れるから
不健全なんですよね。称賛であるけど読者としては胸糞でもある。
とことん不幸で胸糞で無力でかわいそう、許せない、でもそれが何だか
萌えとして胸に刺さるという負の性癖を刺激する。どろろのみおに関しては、
アニメの方が現代的な配慮で描かれていて、原作はそういう何かだと思う。
時は戦国。 醍醐の国の主である景光は、ある寺のお堂で 十二体の鬼神像に
領土の繁栄を願い出た。 それと引き換えに生まれた景光の世継ぎは
身体のあちこちが欠けており、 忌み子としてそのまま川に流され、捨てられてしまう。
時は流れ、鬼神は景光との約定を果たし、国には平安が訪れた。 そんなある日
〝どろろ〟という幼い盗賊は、ある男に出会う。それは、鬼か人か──。
両腕に刀を仕込む全身作り物の男〝百鬼丸〟は、その見えない瞳で襲い来る
化け物を見据えていた。
原作は結構違う点もある。なので鬼神小林靖子が描く結末が楽しみ。
第1巻の内容紹介: 復員後、GHQの秘密工作員として働く天外仁郎。久しぶりに帰る天外家は、
人間関係が汚れきっていた。呪われた出生を背負い、運命にもてあそばれる奇子。
地方旧家、天外家の人々を核に、戦後史の裏面を描く問題作!
これとかムウとか書くからこの人は…三つ目が通るの和登さんて
母性溢れるボクっ娘お姉さん属性でだめんずってすごい属性持ちですよね…。
手塚作品ってジャングル大帝とかブラックジャックが有名だから
あれだけど、結構胸糞作品多いですよね。だから業なんだけど、
どうもその胸糞が00年代的な何かに通じるものがあるようなないような。
00年代の罪と業と救済のコントラスト、そして10年代がある
誰かを「赦す」時に、「こんなにかわいそうな過去があるのだから仕方ない」は
常套手段だけれど、それってオッケーなんだろうか?かわいそうだからこうなる、
悲惨だからこうなるしかなかった、それって当たり前のように受け入れられて
きたけれど、何となく社会がそこに揺さぶりをかけているような気がする。
理由や不幸は行動の免罪符になりうるのか?それで相殺していいのか?
それって突き詰めると「偉いから無罪」とあんまり変わりなくないか。
かわいそうだから無罪、かわいそうじゃないから有罪、犯した罪が同じでも?
ひぐらしの鷹野はそこらへんがちょっと気になる扱いです。
それ断罪しちゃうと、じゃあ生い立ち不幸な人は最初から生まれるなって
事にもなるから難しいんだけれども。
00年代はエロゲもそうでないものも、「業」とそれを赦すかどうかという
問題が大きく扱われていました。業というのは文学にも宗教にも、人類にずっとある
テーマなのですが、00年代のテーマというのは「世界を犠牲にしても
救いたいものがある」とか「世界と大事な人を天秤にかける」とか「罪を犯した
ヒロインや誰かを赦すか」とか、「絶対に救えない誰かを救いたい」とか、
そういうものでした。とざっくり言ってしまえるほど浅くも狭くもないけれど、
ありとあらゆる業の深い、汚いけれど尊い愛が描かれてきた。
ここ20年間でBLに何が描かれてきたかも気になるところです。
90~00年代にはBLって「結ばれない」「罪深い」文脈が結構多かった。
不幸ド不幸、報われない愛、でも愛してる、そういう感じ。
最近は結構明るいBLが多いのかな。時代が暗いものを求めていたのだろうか。
BLに関しては同性愛者への社会の許容度の変化、BLがどんどん売れていった影響も
大きいように思います。
話を戻すと、その00年代があってその答えとしての「まどマギ」であったり、
さらに進んだケムリクサなのではないか?という話です。
最近「Fate/StayNight Heaven's Feel」が映画でやっていますが、桜を救えるか、
桜を赦せるかという事が視聴者につきつけられるわけです。
沙耶の唄とか、エルフェンリートなどがあるわけです。
ひぐらしのなく頃にとか最終兵器彼女みたいなものがあるわけです。
タオルケットをもう一度2というゲームがあるのですが、これは「愛」だろうか?
という事を徹底的につきつけてくる。このヒロインをどう思うか。
これもまた↑の萌え文脈かもしれないんだけれども、00年代の物語は
二人を引き離すためにある。通常では赦しがたい状況や罪がある。
赦せない、愛せない、ありえない、受け入れられない、そういうものを
越えるにしても諦めるにしても、そこにはすさまじい葛藤があって、
視聴者には嫌悪感や涙、憎悪、何でアニメ観たりゲームやってるだけで
こんな感情を覚えなきゃいけないんだというぐらい振り回されて、
そこに純粋な愛やそれによる感動が残るという、真っ黒いものに振り回されて
最後に真っ白い愛が残るような、小さなかすかな絆が残るような、
そんなコントラストが物語の描き方として流行ったわけです。
BLも古くに流行ったものはそういう葛藤ものも多かった。
という時代を経ての、2010年代がある。
という事が、そこを通っていない人にはいまいち分からないような気がする
んですよね。吐き気がするような業まみれの愛の形があって、まどマギが出て、
けものフレンズ1期やケムリクサが出てきている。そこ通ってないとまどマギも
ただ美少女の首が飛んだとかさやか不幸という文脈でしかとらえられないのかも?
とも思う。そこらへんどうなんでしょう。
今からでもどれか履修した方がいいと思う。オススメはHeaven's Feelかなあ。
先に別のルートのアニメかゲームという前提で。
で、冒頭に戻ると、「かわいそうだから赦す」という生い立ちや不幸エピソード
による罪との制裁は何となくそろそろ限界に来ているかもしれない、という
個人的な感想。その文脈で、鉄血のオルフェンズは個人的には評価できる
部分も多い物語だと思っています。終盤の展開が結末ありきな気がするのが
ちょっと(だいぶ?)気になるけれど、評価すべき意欲的な部分も多々ある。
結局、安易な断罪に走ったし、弱者は負けるというのももうちょっと別の
結末はなかったのかなあとは思いますが、鉄血今でも好きなんですよね。
ここ10年、あるいは20年ぐらいでネットでステルス的に蓄積されてきたもの
多分90年代末からのエロゲブームで恋愛における業とか、見せ方というものが
その界隈でだけ急速に蓄積されて、エロゲブームの終焉とともにあっという間に
闇に葬り去られたという物語歴史上の穴があるんですよね。18禁だから
表に出にくいんだけど、そこで蓄積された文化と物語文法と解釈がある。
多分今、スマホのガチャゲーとかでそれが蓄積されているんです。
で、スマホアプリってすぐ終了するし、数が多いから情報の共有が進まない。
記録として残るのは攻略サイトとYoutube動画ぐらい。
価値観ってどこかでは進むんですよね。何だか同じような話ばっかりだなあと
思うなら、その界隈が停滞しているか、自分に新しい部分が見えていないかの
どちらかで、つくる側の人はなるべく多く広く、一番濃くて新しいところに
アンテナ張ってないといつの間にか置いていかれる。すごい時代だなあと。
音楽だとボカロ通ってない世代というのがあって、それって今でも恐らく
分断になってるんですよね。音楽業界に拾いあげる側の大人はほぼボカロを
通ってない、音ゲーも同人アレンジも通ってないと、音楽における
分からないツボや文脈があって、それを省いた状態で評価して拾いあげるから、
それを分かっている特定の世代(主に若者)にとっては「違うな」っていう
ものを拾いあげる。若者のツボの部分を外して、それ以外の何となくJ-POP
っぽい部分であったり、洋楽っぽい部分だけを評価する。どうもそれを
文化的に通過していないと「聴こえない」らしい。評価の仕方が分からない。
当然物語や漫画、アニメにも同じ事が言えて、何世代もジャンプされると
評価基準がないままいきなり作品が出てきて、何世代か前の基準で評価する
以外ないんだけど、基準を持っている人からすれば的外れで、どこを見てるんだ、
という話になる。
00年代の日本における3大カルチャー、エロゲ、ニコニコ、ボカロですが、
いずれも「後から履修しにくい」という特徴がある。ネットの流行全体が
そうなのだけれど、過ぎ去ってしまうと案外後に残らない。エロゲも今から
遊べるものは少ないし、サイトもかなり潰れてしまっている。ニコニコも
動画が削除されたり、実況や生配信はアーカイブもなかったりするし、
今のニコニコを見ても当時の盛り上がりは全然分からない。ボカロもかなり
世代交代が進んでいて、最初の方の世代はやっぱり動画も音源も結構
消えていたりする。
表に出てきたものだけ見ても全然分からない割に、その世代の人や作り手への
影響力だけはやたらと大きい。
音楽においては、ボカロが流行っている時期もそれを通っていない作り手を
じわじわ殺すかもしれないという感覚はあった。そこで蓄積された文化と
それが混ざり合った音の価値観の蓄積があって、エロゲがすっぽり抜けていると
分からない物語があるように、音にもそれがあり、表に出ないだけで
音の世代交代や進化は結構あったと思う。メジャーがそれを拾えなかっただけ。
そういうのって物語にも確実にある。自分が知らないどこかで爆発的に
何かが流行って、消費されながらどんどん進化していって、後には何も
残らないのに、ある日ボコボコと自分が知らない、自分から見えない価値観を
沢山持って若手が出てきて支持されて、何がすごいんだかいいんだか全然
分からない、見えない…そんな怖くて残酷な事はない。日本のネットとリアルの
分断が生んだのはそういうものだと思う。
次の記事「ジャパリまんの偉大さについて」に続く。
商品~00年代代表懐かし作品コレクション~
自分で貼ってて懐かしすぎて死ぬんじゃないかと思いました。
安直に言えば萌えと鬱、日常系とセカイ系だったけど、それだけでは語れない
00年代。よく分からないミームが多量に飛び交っては消え、それが確実に
作品に吸収されていったような気がする。
「この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上!」
入学早々、時を止めるような挨拶をした涼宮ハルヒ。そんなSF小説じゃあるまいし…と、
誰でもそう思う…。しかしハルヒは心の底から真剣だった。それに気づいたキョンを
とりまく日常は、もうすでに超常になっていた…。涼宮ハルヒが団長の学校未公式団体
「SOS団」が繰り広げるSF風味の学園ストーリー。
小説はラノベの風袋だけれど割とSF。
けも2でなぜか第二のヤマカン言われてるんだけど、今見ても涼宮ハルヒの
アニメは面白いし(今の大学生が見てどう思うかは謎だが)、かんなぎのアニメは
もっと評価されていいと思う。神様ドタバタラブコメとしてめちゃくちゃ面白い。
ヤマカンの不幸はあの時代の萌えアニメが本人はさして好きではないのに、
それをやらせると素晴らしい仕事をするっていうところなのではないだろうか。
地区展に出品するため、切り倒されたご神木から木彫りの精霊像を作り終えた
美術部員の御厨仁。すると、その精霊像が割れ、中から女の子が現れる。
彼女の名前はナギ。精霊像を依代として顕現した産土神だというナギと、
仁は一緒に生活することになってしまう……。
あまりヤマカン作品として名前が挙がらないがヤマカンが輝いている作品。
いわゆる美少女同居ものジャンル(うる星やつらとかああっ女神さまっとか)
ドタバタラブコメなんだけど、自分の中でこの作品の評価がめちゃくちゃ高いので
自分の中ではヤマカンは少なくとも00年代後半においては偉大な監督
という評価が揺るぎない。ドタバタ、日常、萌え、シリアスのバランスもよく、
感情描写も丁寧で、個人的には今でもヤマカンにかんなぎ2期作って欲しい。
昭和58年初夏。都会から山奥の寒村・雛見沢に引っ越してきた圭一は、学校のクラスメート
であるレナや魅音、沙都子、梨花といった面々と楽しい日常を過ごしていた。
そんな中、圭一は毎年6月に行われる祭「綿流し」の日に連続怪死事件が起きている
ことを知る。その日を境に、圭一の周りが少しづつ変わり始める…。
昭和58年初夏。都会から遠く離れた山奥の寒村、雛見沢。昼にはセミの、
夕暮れにはひぐらしの合唱が木霊していた。圭一、レナ、魅音、沙都子、梨花、詩音
今日も「部活メンバー」の明るく、賑やかな声が雛見沢に響いていた。そんな中、
梨花は時折悲しげな表情を見せていた。それは毎年6月に行われる祭「綿流し」が
近づいていたからであった。過去4年続く、祭りの日に、繰り返される惨劇。
毎年、一人が死に、一人が行方不明になるという「雛見沢連続怪死事件」。
今年も惨劇は起こる。梨花は全てを知っていた。ハジマリも、オワリも・・・。
繰り返される惨劇の連鎖は断ち切れるのか?
いわゆるループもの。バッドエンドを回避するために最善の行動を取るために
ループする世界。誰が悪いのか?何が原因なのか?を試行によって積んでいって
潰していくんだけど、最終的にあんまり「悪い人」はいないようにはなっている。
それも赦せるかって話になってくるけど。
罪と赦し、許されない罪のエモさみたいなものは00年代の割と大事なところ
かもしれない。曲で言うとひぐらしのOPやYOUじゃなくてEDの方みたいな。
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進撃の巨人の作者が影響を公言する作品。
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不幸な交通事故により家族を失った青年・匂坂郁紀。奇跡的に一命を取り止めた彼には、
目に映るものすべてが形を変え、醜く歪んでしまう不思議な後遺症だけが残った――
そんな郁紀の世界に突然現れたのは、うつくしい少女。「沙耶」と名乗る彼女の存在は、
郁紀の汚穢に塗れた日常を美しい色に染めていく。彼にとって、それはただ一筋の光だった……。
世界にたった一人だけの、というのは究極のラブストーリーではある。
世界でたった一人のために、というのも究極のラブストーリーである。
エロゲって今多分元気ないジャンルだけど(どうなんだろう)、
なぜ90年代後半~00年代のオタクはエロゲによってアニメによって
こんなにも愛における業とか個人と世界というものを叩きつけられて
号泣しなければならなかったのだろう。
舞台は海と山に囲まれた都市・冬木市。そこで行われる、ある一つの儀式。
手にした者の願いを叶えるという聖杯を実現させる為、聖杯に選ばれた七人の魔術師に、
聖杯が選んだ七騎の使い魔を与える。 騎士 "セイバー" 槍兵 "ランサー"
弓兵 "アーチャー" 騎兵 "ライダー" 魔術師 "キャスター" 暗殺者 "アサシン"
狂戦士 "バーサーカー"。マスターは七つの役割を被った使い魔一人と契約し、
七組は、聖杯を求め、最後の一組となるまで殺し合いを繰り広げる。
その名は「聖杯戦争」。2015年 春、決戦―。
正義のヒーローのメタものというか、人を救って救ってその果てに…
というのは少女革命ウテナでも出てきた「王子様」ですが、
利他100%の人間キモい怖い、しかも自分が救われない、というのは
80年代までの勧善懲悪ヒーローとは時代が違う感じですね。
もう1つ武装錬金という作品があって、割と近いテーマでしょうか。
短いしちょっとエグいけど結構オススメの作品。
武装錬金も「見捨てない」「救おうとする」系の話ですよね。
るろうに剣心の作者だからなあ。
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この前これの2がやってました。このルートが真骨頂、桜を救えるか?
赦せるか?を叩きつけられるHeaven's Feel。また歌が内容にぴったりで
業が深いソングというかw
梶浦さん、業深いソング作るのうますぎる。桜だよこれ桜じゃん!
空の境界もめちゃくちゃ好き。
二角奇人(ディクロニウス)は、人間の突然変異体・・・・・・頭から生えた角を持ち、
第6感とも言える特殊な能力と手を持っていた。人類を淘汰する可能性をも秘めた彼ら
ミュータントたちは、その危険な能力のため、国家施設に隔離、研究されていた。
しかし、偶発的事故により、ディクロニウスの少女ルーシーは拘束を破り、
警備員らを殺戮、研究所を逃げ出す。が、その途中で記憶喪失となってしまう。
過去と記憶を無くしたルーシーは、鎌倉・由比が浜に流れ着くが、その浜辺で
コウタとユカに出会い、「にゅう」と名付けられ、コウタの住む楓荘に居候する
ことになる・・・・・・。
そういえば「業」「罪」「美少女がひどい目に遭いすぎる」でこの作品を外す
事はできません。もう泣いた泣いた。「誰も悪くないんだよ…」とか言いながら
大号泣。この三角関係というより三すくみみたいな同居やナナを描いた作者
すごすぎると思う。何かこういうのが00年代の大流行だったんですよね。
罪は赦されるのか?というテーマでは外す事ができない作品です。
これも曲がぴったりですよね。
このボカロカバー神すぎるんだが。KAITOこんな低音出るんか。
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これアニメ版アマプラにない?
「アンインストール」とともにネットで一世を風靡した作品。
これがまた、子供が一人ずつ死んでいくロボットアニメなんだけど、
死との向き合い方、死までのそれぞれの時間の過ごし方、それぞれの
守りたいもの、覚悟…00年代の外せない作品の1つ。
コエムシに関しては原作のがいいかなあ、原作の展開で石田さんの演技で
聞きたかったなあという思いがちょっとある。
これ、どろろとテーマがちょっと被ってますね。
自分たちが救われるには、別の星を滅ぼす必要がある。死ぬ人もいる。
どうするか。善悪の超越、扱いに関しては2010年代の方が進んだ
とは思う。
ニコニコで異常に流行った曲。
付き合い始めたばかりのシュウジとちせ。ところが、ある日突如、空襲を受ける。
敵戦闘機が降らす爆弾から逃げ惑うシュウジ。だがそんな中、頭上に謎の物体が現れ、
敵を次々と撃墜していく。恐る恐る見上げると、そこには体から羽根と巨大な武器を生やした、
ちせの姿があった。最終兵器に改造され、戦争へと駆り出されていくちせ。
はたして彼らの運命、そして恋の行方は?今、この星で一番最後のラブストーリーが始まる…。
これ結構好き嫌い分かれる作品。自分の彼女が世界を救う切り札になっていって
どんどん人間ではなくなっていってしまって…というラブストーリー。
いわゆるセカイ系分類作品だろうか。
人工衛星リーベ・デルタが、ゲドゥルトの海へと沈下し圧漬する事件が発生。
リーベ・デルタで訓練を受けていた487名の少年少女たちは、謎の巨大航宙艦
「リヴァイアス」に乗り込み、大人を失った状況下で救助が来るのを待ち続ける。
だが、彼らは行く先々で攻撃を受け、生き延びるために戦うことを余儀なくされる……。
これはギリギリ90年代。コードギアスの谷口監督の作品なんだけど、救いがない…
1話から転がり落ちて行って、どんどんどんどん悪い方に状況が転がっていって、
人間関係がドロッドロで、最後まで救いが見えてこない重いつらい話なんだけど、
見る価値はある濃厚なアニメ。
これもエヴァの影響下の系列で語られる事もあるけれど、単純にガンダム系
ロボットアニメやSFアニメの系譜なのかもしれない。当時はちょっと暗い話だと
全部エヴァの影響って言われていたけど、今思うと乱暴な分類ではないだろうか。
曲の歌詞がぴったりすぎてな…。十二国記のEDも歌われていた方なのだけど
歌うまい。
テレビ版のAmazonプライム。両方合わせて50話。
コードギアス好きなのでさんざん言及しているのですが、やっぱり00年代を
代表する作品として外せない。正義と別の正義、やり方のぶつかり合い。
決して善ではないやり方で「やさしい世界」を目指すルルーシュの物語。
00年代の頂点の1つ。
谷口監督は人間のぶつかり合いやすれ違いの扱いがうまい。
アダルトゲームのタイトル一覧
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00年代って半分はエロゲ、エロゲ的なものでできていると思う。
タオルケットをもう一度2 Pixiv大百科
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この「タオルケットをもう一度2」がタイトル書くだけで胸にくる
というか…これは愛だという人とそうでない人と、これはハッピーエンドだ
という人とそうでない人と…。
ちょっと違うけどSIREN(ゲーム)が好きなんですよね。あれを恋愛ものと
思えるかどうかっていう。何で00年代ってそういうのなんだろうね。
普通に幸せになったらいけないのかっていうw
そういえばゲームのストーリー記事は夕闇通り探検隊以外に出していないので
SIRENとかRule of Roseとか記事書きたいかも。
それらのゲームは一人で同人誌出したいぐらい好き。
フリーゲーム一覧 Pixiv大百科
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フリーゲームこんなにいっぱいあるんですね。今だとアプリゲーなのだろうか。
オライリージャパン
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シナリオライター/プランナー/ディレクター必携。
歴代の人気ゲーム41作品の事例を通して、ゲームシナリオの
企画構成テクニックを学べる実用書。
ゲームには、どのようなストーリーが最適か? ストーリーに分岐を入れるべきか?
どのようなエンディングにするか? そもそもエンディングは必要か? といった、
ストーリー作りの疑問に答えます。
魅力的なキャラクターの作り方、感情移入のさせ方、制作コストの注意点など、
「ゲームをおもしろくするシナリオ作り」の秘訣を徹底解説。
巻末付録には、北米ゲーマーの本音がわかるアンケート調査データを収録。
第一線でシナリオ制作中のプロにとっても、クリエイターのタマゴにとっても、
必読の一冊です。
結構日本の有名ゲームにも言及しています。
ゲームって分岐ありきだったり、プログラム上の都合が絶対的にあって
シナリオを書かないといけないので、ちょっと特殊ですよね。
EDを16パターン作らないといけないとか、各キャラごとのEDが必要とか、
3択で分岐しないといけないとか。
なのでゲームライター出身の方々は結末からみて展開させるのが得意、
尺に収めるのが得意と誰かが言っていたような気がします。
虚淵玄さんや田中ロミオさんなどの事を。ジャンプの長期連載にどうしても
出てしまう「gdる(中だるみ)」がしにくく、きれいにすっきりまとまって
終える事ができると。
古いゲームだと容量の都合で文字数削ってとか、そんな事もあるみたいで、
時間が足りないから台詞削る事はあっても、容量が足りないから文字数削るって
ゲームならではだなあと…w
エロゲっていうのも分岐ありきだったりするから、すんごいロジカルに
書かれていたりもする。
ループものとかIFエンディングというのもアニメに輸入されて
ゲームのプログラム上の都合がストーリー作りに影響したものですね。
00年代もの特集なのに「AIR」「CLANNAD」「けいおん!」「ローゼンメイデン」なし
というのはどうなんだと自分でも思いますが、AIRは泣きゲーだけど業じゃないので
仕方ないのです。
個人的には00年代は「シムーン」とか「ゼーガペイン」なども推しますし、
「空の境界」がとにかくめちゃめちゃ狂ってしまいそうなほど好きなんだけど、
あとBLACK LAGOONも00年代でした。
シムーンはマイナーだけど見る価値はあるアニメ。若干ドロドロしてる
宝石の国みたいな百合気味なロボットアニメなんだけど、ちょっと
ストーリー的にはマブラヴにも近い感じあって、もうちょっと禅っぽくて
ジェンダー要素もある感じ。ウテナ好きならいけるかも?
自分の中でシムーンがあるから岡田麿里の評価は高いんですよね。
あとこの流れだと絶対入るべき「蒼穹のファフナー」が入ってないのは全話見てないから。
ごめん。ガンダムooは全部観てるけど「ガンダムだから」というくくりに
なってしまうのでちょっと除外してる。ああ、「鋼の錬金術師」も00年代か…。
あれも「代償系」という価値観の波及が大きい作品だと思う。
シュタインズゲートはゲームが00年代なんだけど
まどマギと同じ年でループ系集大成っぽさが強いから10年代扱いのがいいかなあ。
エロゲあんまり通ってきてないので、こういう時にジャストなこれぞという作品を
出せないんですよね。だって「ストーリーでオススメのエロゲ100選」とかあって、
それぞれン十時間~100時間プレイしないといけないんですよw
シムーンとローゼン、無限のリヴァイアスは単独記事作ってもいいかなあ。
もう2010年代アニメ総括しないといけないような時期なんですね。
びっくり。懐死してる場合じゃないw
あとこうしてみると00年代ってSF好きすぎではないか?
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