時代の変化と親子関係の不文律
- 2016/03/12
- 19:04
目次
- 1、昭和の生き方と因果応報
- 2、日本の古い子育て
- 3、現代的な解釈
- 4、現代人は我慢しない
昭和の生き方と因果応報
唐突だけど、上の世代って「身勝手に生きて許されて死にたがる」と思う。
「昭和元禄落語心中」の10話だけど、お師匠ですよ、七代目八雲。
ああいうのが昭和の古い人間の考え方や生き方だよな~って。
多分良くも悪くも。
例えばね、「昭和の男」というのは、女房を顧みず、いろんな愛人がいて、
浮気もしまくり、酒でいろんな人に迷惑かけて、死ぬ間際になって一言、
女房に「済まねえな」とか何とか言って、そのままぽっくり死んで、
死んだ事で全部チャラにされたがり、女房にも愛人にも浮気した女にも
迷惑かけまくった周りの人にも愛されて許されて肯定されて死にたいし
葬式の席では自分のために泣いて欲しい、みたいな価値観。
若者からすると「ハァ?(ふざけてんのか)」っていうねw
これがね、若者の価値観だと、「全部の人間から見向きもされず因果応報、
罪には罰が返るべき」って事になるんですよ。
上の世代は多分そこらへん、分からないんじゃないでしょうか。
ある意味でものすごい勧善懲悪で、悪い事した人はそのぶんの罰を「絶対に」
受けなければならないし、周りにひどい事した人間は嫌われて誰からも愛されず
孤独に死ぬべきだ、そのぐらい当然だっていう。
その価値観で見ると、ちょっと前に巷をにぎわせた「何で不倫ぐらいであそこまで」
っていうのも分かるでしょ。
迷惑かける事がとんでもなく許しがたい罪で、不倫も罪で、相応のペナルティを
受けなければならない…もっと言うと、悪い事をした人間がきっちり罰を受けて
不幸になっているのを見て安心している…そうすると、善く生きている限りは
安全圏だと錯覚できるから…という気もするけれど。
日本の古い子育て
何でこんな話してるかというと、自分は親とこれのせいで折り合いが悪いんだな
という事に気付いたから。
うちの親って、客観的に見ても結構ひどいと思うんです。色々と。
多分、100人中99人は「いい親」とは言わないと思う。
虐待というわけではないが、いい親とは全く言えないような親。
とにかく身勝手で、子供の事なんか考えないし、子供の事は人間だと思ってないし、
他人だともどうやっても認識できない。
それも恐らく、古い価値観、常識のせいなんですね。
昔の人の価値観や教育だと、子供に人権なんかないんです。
子供は無条件に親の言う事を聞くしかなく、どんなに理不尽でも「はい」で、
理不尽に怒られても「すいません」「許してください」。
まあ、昭和1桁感覚の教育がそれじゃないかと思うんだけど…
ほら、ちゃぶ台ひっくり返す父親とか、子供は竹刀で殴ってしつけるとか、
結婚相手は親が決めて当たり前とか、そういうノリの。
自分の親は昭和1桁生まれのさらに子供で、父親は定年後で母親は定年近いという
年齢だけれども、親に叩きこまれた価値観を疑わないから、昭和1桁時代の価値観を
微妙に今でも持ってるんですよね。
だから子供には何も認めない親で、子供の人権向上や個人主義が進んだ現代の子供
である自分とは徹底的に折り合いが悪い。
ちょっと前にゲームバキバキ事件というのがあったけど、うちの親はまさにそれで、
おもちゃとか本とか知らない間に沢山捨てられたし、親が気に入らない趣味は
徹底的に否定されたし…親が好きじゃないものを好きになるのはだめだし、
親が好きなものは好きにならないと怒るし。
でもそれはどうやら、自分の親が受けてきた教育らしいんですね。
それを「正しい」と思っているから、子供にもしてしまう。
現代的な解釈
ここで価値観がぶつかるのだけど…つまり、自分は、親が押し付ける価値観よりも、
現代的な価値観と常識を優先させていて、親のためにそれを変えてあげる気がない。
親はそもそも「現代的な価値観」が分からない。子供に人権があるって事が
どうしても分からないんです。だから認める事ができない。自分も認められて
きていないし、そういう子供が大人になって親になると、子供の権利は認めない。
昔の社会ではそもそも「親を否定する」という事自体があり得ないので、
親自身は自分の親に対して感謝していたり、大好きだったりする。
自分から見ればそれは「社会的にこうあらねばならないという義務に従って
親を全肯定しているだけ」だと思うし、その歪みを親が引き受けないせいで
子供に因果が…と思うのだけど。
自分の母親を見ていると、多分、自分が子供の頃つらかったという事を認知したくない。
だから自分の子供の「親が許せない」という言葉も聞こうとしないし分かりたくない。
それを分かるには、「本当は自分が親にされた事は嫌だった」と自覚する必要があり、
「本当は親が嫌いで許せない(部分もある)」事を認知する必要があり、それを認めると
今まで信じてきた自分がバラバラ崩れてしまうし、悪い人になってしまう。
親に対して過剰にいい子でいたがるんですよね。嘘をついてでも。
それもしつけによる刷り込みなのだろうか。
そういうのは子供が、あるいは妻などが「水に流す」という自己犠牲によって成立し、
一方で子供の不満は自分の子供に、まったく同じ不満しか出ない子育てをする
事によって呪いのように継承され、妻の不満は一人抱え込むか、子供か嫁にでも…
負の連鎖です。こういうのが「日本の伝統的な子育て」であり、これが社会を作ってる。
ところが、現代ではこういうのが「毒親」とか言われてしまう。
心理学などから見ると、典型的なパターンでそう言われてしまう。
「虐待の連鎖」とか言われてしまう。
こういうのも西洋的な価値観の輸入によって日本的な価値観と文化が潰されたと
言うものなのでしょうか。自分は現代人だから、そんな日本文化理解できませんが。
現代人は我慢しない
「あさが来た」観てて、そうそう、自分が蔵に閉じ込められた人って、嫁や子供を
蔵に閉じ込めるんだよなって。自分が子供の頃にやられて怖かったことを、
誰かにやり返してしまう。
実はその事で自分の痛みを分かって欲しいのではないか。
子供の頃に怖かった事を共有して、慰めて欲しいのではないか。つらかった不安だった
心を癒してほしいのではないか。大丈夫だよって言ってほしいのではないか。
だから「あさが来た」でも、ちょっと難のある姑に「だんな様を産んでくれて
ありがとうございます」なんて嫁が言うでしょ。
そうやって許されて死にたがる。嫁はそこで姑に認められるまでにめんどくさくて
全然取り合ってくれない人に何十年でも優しく訴えかけていかなきゃいけない。
そういうのが伝統的な日本の嫁姑だと思うんだけど、今だったら2年で離婚だねw
それは女性の権利が向上して、離婚しても仕事があるし行くところがあるから。
現代人って時間がないしドライで、そういう意味でのこらえ性もないから…
例えば、自分を邪険にする姑に40年ぐらい優しく語りかけ続けて姑が死ぬ間際に
やっと認めてくれる、みたいな事、する根気あります?
あ、これ、うちの親戚の話なんですけど。
自分ならそもそもそんなめんどくさい姑がいると分かったら結婚自体しないと
思います、それが現代人感覚です。
そう、現代人はそうなのだ。
昔だったら許された事が1つも許されない。面倒な他人に構わないで放置する。
だから親子でさえも、姑だって実の親だって、めんどくさいなら徹底的にかかわらない。
子世代が継承しないせいで、上の世代はその価値観ごと自分も居場所がなく、
救われない。
良くも悪くも、社会が変わったせいなのだ。いいのか悪いのかは分からない。
続き↓
親に対する子供の独白 2016/03/14
http://shiratamazenzaitsubu.blog14.fc2.com/blog-entry-4672.html
蔵から出られない人の生き方 2016/03/14
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2016年の記事リンク
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